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伊豆屈指のパワースポット「伊豆山」で源頼朝ゆかりの神社と珍しい日本古泉めぐり

伊豆山神社本殿

熱海市の東端、県境付近に位置する伊豆山。

伊豆の入口という絶好のロケーションながら、主要観光スポットと少し離れたところにあるため、行ったことがある人は意外と少ないかもしれません。

しかし、伊豆山は、古の人々が参詣するためにわざわざ遠方から訪れた信仰の場だったことをご存知でしょうか。

今日はそんな伊豆山の魅力に迫ります。

 

 

小田原から熱海へ

伊豆山

いつだって伊豆に向かう海岸線沿いの道路は気持ちがいい。

小田原から熱海へと向かう国道135号線沿いの道は、絶景続きの道。
海岸沿いに続く道は緩やかに標高を上げ下げし、時に波しぶきが車に届きそうなほど海の近くを走ります。

窓を開ければ潮騒の音に潮の香り。
アクセルを緩めてこの心地よい潮の恵みを五感で楽しめば、伊豆に来たことを体で感じることができます。

途中、真鶴半島の手前でルートを分けた真鶴道路と合流すると、そこは県境の町、湯河原。
川を渡れば静岡県に入ります。

この先、海岸を撫でるように走る熱海ビーチラインと、高低差のある山道を走る国道に分かれますが、目指す伊豆山は国道沿い。
一気に高度を上げ、高台の道を走ります。

標高にして100メートルほどの高さに上がると、今度はなだらかな下り坂が続きます。
やがて現れるのが、東海道線を巻くように大きく曲がるカーブ。
そのカーブを抜けた先にある信号が伊豆山の入り口です。

 

伊豆山とは

伊豆山

「伊豆」といえば海なのに山。
ちょっと不思議な感じのする名前の『伊豆山』は、古くから信仰の対象として崇められてきました。

伊豆山の象徴ともいえる「走り湯」が発見されたのは、今から1200年も昔、奈良時代のこと。
日本三代古泉の一つに数えられる温泉です。
古くから治癒や長寿の湯として神格化しました。

周辺には、源頼朝が源氏再興の旗揚げの際に立ち寄って再興を祈願した「伊豆山権現」源頼朝と北条政子が出会ったとされる「逢初橋など、歴史的にまつわるスポットが多く存在します。

明治時代には皇室の御料温泉だったこともあるこの伊豆山温泉。
近年には有名なホテルリゾート「星野リゾート 界」の進出などにより、再び注目を集めるようになりました。

 

伊豆山神社

国道から伊豆山神社へ

国道153号線の「伊豆山」の交差点を山側へと入ると、道は再び急な上り坂に。

九十九折りの道は、直線がないほどカーブ同士の距離を縮めます。
道の両脇には、山の斜面に取り付くように密集する建物たち。
民家、商店、ホテルなどが所狭しと建ち並びます。

枝分かれする道を迷わぬように進むと、やがて右手に現れるのが伊豆山小学校。
その先で大きく左右に曲がると、カーブを曲がり切ったかどうかというタイミングで右手に伊豆山神社」が現れます。
あまりの急さに通り過ぎそうになりますが、神社を通り越した先を右折すると、そこが伊豆山神社の駐車場。

駐車場は、数台停めれば一杯な広さ。
運よく車を停めると、入り口へと向かいます。
駐車場からは、本殿に向かう階段が見えています。

これは、筋肉痛になりそうだ…。

 

木陰の石段を登る

伊豆山神社

改めて神社の入口に立ってみると、終わりの見えない参道の登り階段に驚きます。
参道脇に建つ案内を見て、さらにびっくり。

ここから本殿まで約200段もあるのです。

この階段には続きがあります。
実はこの階段、伊豆山浜から本殿を結ぶ階段の一部分。
道路を渡って反対側には、海へと通じる階段が続いています。

その総数、なんと837段!

いま立っている神社入り口付近で8合目ほどですから、なんと長いことか。

入り口の下で少し呼吸を整えると、ゆっくりと階段を登り始めます。
まず数段登ったところに一つめの鳥居

伊豆山神社

鳥居の下で一礼すると、改めて一歩を踏み出します。

木陰で涼しげな階段は緑豊かで、ここが海の側であることを忘れさせます。
五感を集中させれば、草木の香りに葉が揺れる音…。
ここで潮の香りを感じるのは難しいようです。

50段ほど登ったあたりでしょうか、2本目の鳥居が現れます。

伊豆山神社 鳥居

扁額には「伊豆山神社」の文字。
周囲を見渡すと、左側の景色が抜け始めます。

目線には民家の屋根が。もう少し登れば、民家越しに伊豆山全体の景観が楽しめそうです。

あらためて鳥居の前で一礼し、鳥居をくぐります。

 

石段沿いの神社

伊豆山神社
ふたたび階段を登り始めると、長く続く階段には穏やかな風が。その風は心地よく、参道を行き交う人の心を和ませてくれます。

顔を上げて階段を登っていると、やがて右手に何かの建物が見えてきます。
その建物は、「足立権現社」

伊豆山 足立権現社

「役小角(えんのおづの)」が祀られています。

修験道の開祖とされる「役小角(えんのおづの)」は、運命開拓の神として知られ、足腰の病などにご利益があるとされる神様

699年に大島に流罪になった役小角は、夜になると飛行の術で伊豆山権現に飛来し、修行したと伝えられます。

古くから『足に病のある人が祈願すると足が丈夫になる』と伝えられていますが、その神様が祀られているのが、長い階段の途中というのは、少しユニークな感じもします。
何不自由なくこの階段を上り下りできることに改めて感謝し、足立権現社にお参りを済ませると、階段の続きを登ります。

やがて、左手に見えてくるのが朱色の祠。
この祠は、「結明神社」と書いて「むすぶみょうじんじゃ」と読む少し変わった神社で、男女の縁を結ぶ神様として知られています。

伊豆山 結明神社

かつては一名忠祭りという神事に、各地から集まった若い男女が参列を作ったといわれるほどのパワースポット。
熱海にデートで来て立ち寄らずして帰るにはあまりに惜しいスポットです。

また、この結明神社は、実はとても見晴らしの良い神社
ここまで階段を上ってきましたが、この神社からは、伊豆山の景色を望むことができます。

高台から望む伊豆山と、遠く広がる太平洋は絶景!

ここまでのぼって来ると、ここが伊豆の一部であることを実感することができます。

 

本殿へ

伊豆山神社本殿

結明神社からの景色で元気をもらうと、伊豆山本殿へと向かいます。

階段は本殿まで残り1/3ほど。
黙々と階段を上ると、やがて目の前に開け、広い石畳が現れます。
伊豆山神社本殿に到着です。

手前左手に手水舎、その奥に商売繁盛を司る雷電社の祠、正面奥には堂々とした本殿が見えています。

伊豆山神社 手水舎 本殿

まずは「赤白二龍」と呼ばれる紅白の龍が鎮座する手水舎で、お参り前に身を清めます。
手口を漱ぐと、次に雷電社」へ。
小さな神社ですが、朱色に塗られた雷電社は、とても威厳があります。

この雷電社付近は、高台の上にあって眺めが抜群。

伊豆山の林の向こうに広がる大海原、太平洋に浮かぶ大島や、伊豆半島、大室山の雄大な景色を眺めることができます。

伊豆山神社 本殿

お参りを済ませてしばし景色を楽しんたら、再び参道へ。
本殿を目指します。

本殿は朱色の大きな建物で、緑、朱、金色で塗られた龍や獅子の彫刻が神々しい、立派な建物。
境内は、神社特有の厳粛な空気が支配します。

本殿にゆっくり近寄ると、2礼2拍手。
ゆっくりと手を合わせます。

鎌倉の時代から1000年近くの時を経て、源頼朝と同じように伊豆山の神様に手を合わせている事実。
本殿に手を合わせながら、ちょっと不思議な感覚を覚えます。

伊豆山神社 本殿

源頼朝が源氏再興を祈願し、北条政子と出会った伊豆山神社
こんな偉大なパワースポットを、毎年伊豆に来る度スルーしていたことが悔やまれます。

伊豆へ観光で訪れたら、ぜひ一度は立ち寄ってみてくださいね。

 

走り湯

伊豆山といえば、もうひとつ立ち寄りたいスポットがあります。
それが、「走り湯」

奈良の時代から続く走り湯は横穴から湧き出る珍しい温泉で、海岸へ飛ぶように走り落ちる湯の様子から、「走り湯」と呼ばれました。
その知名度は、湯治帰りの諸大名がわざわざ走り湯に立ち寄り、見物していったほど。
洞窟の中から現在も毎分170リットルもの温泉がわき出る神秘的なスポットです。

 

走り湯へのルート

伊豆山 走り湯

走り湯へのルートは2つあります。

一つは、国道135号線、伊豆山の交差点から約1kmほど熱海寄りの「ESSO」の角を海側へ曲がるルート。
こちらは、ちょっとした裏道のようなルートです。
伊豆山神社から近いルートで、セットで訪れる場合はおすすめのルートです。

分かりやすいルートが、熱海ビーチラインの「ニューさがみや」から入るルート。
こちらは、走り湯だけ立ち寄るなら、国道よりはるかに分かりやすいわかりやすいルートです。
いずれのルートも、走り湯には駐車場がないため、自身で駐車できる場所を確保しなければなりません。

走り湯の入口は、「うみのホテル中田屋」の側にあります。
入口には、「走り湯」の標識が。

伊豆山 走り湯

その方向に進むと、「日本三大古泉 走り湯」の看板と、正面奥に階段があります。

 

展望足湯 走り湯

階段の上には何やら見晴らし台のような建物。
階段を上ってみると、そこにはなんと展望足湯が用意されています。
うっかりすると通り過ぎてしまいそうになりますが、せっかくですから立ち寄ってみました。

伊豆山温泉 走り湯

足湯に靴下を脱いで湯に足を入れると、少し温めの丁度良い湯加減。

正面には道路を挟んで相模湾の大海原。
右斜めには、初島と大島の島影・・・。
少し強めの海風が心地よく体を包み込みます。

伊豆山温泉 走り湯

これは極楽!いつまででもお湯に浸かっていられます。

 

信仰の対象だった走り湯

しばし足湯の開放感を楽しんだら、足を拭いて靴を履き直し、階段下に戻ります。

そのまままっすぐ進むと、すぐに走り湯の洞窟が現れます。
入口には、「史跡 走湯温泉跡」の標識。

伊豆山温泉 走り湯

立派な石巻の洞門ですが、中に入るにはかがまなければなりません。

正面に立つと、湯けむりの多さに驚きます。
まず、洞窟の中が湯煙で良く見えません。

伊豆山温泉 走り湯

意を決して中に入ってみると、湿気の多さであっという間にカメラのレンズが曇り、使い物にならなくなります。
湿気の多さはなかなか体験することのないほどで、空気と言うよりは水蒸気の中にいる、というほうがピッタリくるほど。

伊豆山温泉 走り湯 洞窟

洞窟の中は電球で照らされており、恐怖感などはありません。
が、それでもものすごい勢いで湧く温泉と湯気がライトに浮かび上がる光景は、なんとも神秘的です。

あまり長く居られる場所ではありませんが、古の人々が敬ってきた源泉を間近に見られるのは、とても貴重な機会。
熱海ビーチラインを通る際には、ぜひ立ち寄ってくださいね。

 

伊豆山神社・走り湯 詳細情報

伊豆山神社

伊豆山神社 本殿


伊豆山(いずさん)神社

住所 静岡県熱海市伊豆山708-1
電話 0557-80-3164
拝観時間 自由
拝観料 なし
社務所 9:00~16:00
伊豆山郷土資料館 大人150円
高校生100円
小中学生50円
9:00~16:00
水曜休館
駐車場 無料駐車場あり。
5台分。
アクセス 国道135号線を湯河原方向から熱海へ向かい、「伊豆山」の交差点を右折。
バス JR熱海駅より伊豆山神社線バス「伊豆山神社前」下車。乗車時間10分ほど
Webサイト http://izusanjinjya.jp/

 

走り湯

伊豆山温泉 走り湯


日本三大古泉の一つ 走り湯

※入浴施設ではありません
※横穴式源泉

住所 静岡県熱海市伊豆山604-10
電話 0557-81-2631
営業時間 9:00~16:00
定休日 なし
見学料 無料
駐車場 なし
アクセス 熱海ビーチラインで湯河原から熱海に向かって「ニューさがみや」を右折。
バス JR熱海駅より東海バス伊豆山温泉行きで9分、「逢初橋」下車徒歩5分

 

源頼朝ゆかりの「伊豆山神社」と日本古泉「走り湯」めぐり まとめ

伊豆屈指のパワースポット、伊豆山。
いかがでしたでしょうか。

多くのジオパークが集まる伊豆半島にあって、古の人々が崇拝してきた自然現象、走り湯と、信仰の要となった伊豆山神社。

伊豆へ出かける通り道に、ぜひ訪れてみて下さい。

 

 

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この記事を書いたひと

ぴもる

ぴもる

2歳のころから
夏は伊豆に家族旅行へでかけるのが恒例行事。

小学校3年生から7年通った下田市田牛は、
第2の故郷のような場所です。

40代になった今も、嫁子供・両親と、
年に数回は伊豆へお出かける伊豆好き!

伊豆のライターをやれる日がくるなんて…

もっと真面目に写真を撮っておくんだった…と、絶賛後悔中です。