川根本町|お茶本来の味わいを堪能できる贅沢な道の駅「フォーレなかかわね茶茗舘」
トーマス電車で有名な千頭駅に車で向かう途中、最高級の川根茶を堪能できる道の駅に立ち寄ってみるのはいかがでしょう。
案内板を見つけたら、思い切って坂を下ってみます。
すると、川根の風が心地良く通り抜け、心安らぐ空間が出迎えてくれますよ。
このページの目次
澄んだ空気と開放感に包まれた道の駅
東屋が置かれる広々とした芝生広場を道沿いに歩いて行くと、昔の茅葺き屋根を思わせる情緒豊かな建物が並んでいます。
トイレ休憩のために立ち寄ったとしても、「ゆっくりしていってね」と声を掛けてくれているような穏やかな雰囲気。
フォーレなかかわね茶茗舘は、川根の歴史や川根茶の楽しみ方を体感できる魅力いっぱいの道の駅なんです!
そこで、まず始めに観覧無料の郷土資料館で川根本町のお茶づくりの歴史を学んでみたいと思います。
郷土資料館で学ぶ、お茶づくりの歴史
川根本町で育まれたお茶栽培
静岡人なら馴染みのある茶畑風景。
いつもそこにある富士山と同じように、当たり前の景色かも知れませんね。
川根本町でお茶栽培が根付いたのは、年貢として収めていた記録が残されている1590年代のこと。
お茶栽培の始まりは1200年代といわれていますが、度重なる戦を乗り越えて、天領下つまり幕府の財源を支えるための直轄地であったことが、お茶栽培の普及と産地形成に繋がったと考えられています。
では、なぜ山の奥深い地域で流通が整えられたのか不思議ですよね。
大井川の存在がお茶栽培の歴史を支えた
キーになるのは悠々と流れる大井川にあります。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」という歌が詠まれるほど、大井川は流れが急な上に、橋もなく、大雨の増水で足止めされることが多かった川でした。
ですが、その潤沢な川の流れが木材や物資の運搬に活用され、大切な貿易品でもある川根茶の生産量増加に繋がりました。
その後も製茶の機械化の流れが押し寄せる中、手揉みの良さを残そうと信念を持って取り組む姿勢やより良いお茶づくりを目指す探究心など、地域の人たちの努力が伝わる展示がされています。
パネル一つひとつから、川根の人々のお茶に対する熱意や優しい気持ちが感じられました。
全国的にも名高い上質な川根茶
皇室献上品としての指定や数々の受賞を繰り返すほど上質なお茶を生み出している川根茶。
今年度も産地賞を受賞するなど目覚ましい活躍をされているのです。
川根茶の飲み比べイベント
現在、産地賞受賞を記念して、生産者さんごとの高級茶をいただけるイベントが行われています。
通常はJA取扱の味わい深い川根茶をいただけますが、「この機会に素晴らしい川根茶をぜひ飲んでもらいたい!」という館長のお心が伝わるようなおもてなしが準備されています。
取材日に提供されていたのが、丹野園さんの『やぶきた』と『おくひかり』の贅沢な飲み比べ。
家庭では味わえない川根茶の魅力と奥深さを体感できますよ。
茶室で味わう!川根時間を体感
建物入り口から左に入ると、美しくも穏やかなお庭が広がる茶室へ案内されます。
ミニテーブルと座面の低い椅子が用意されているので、おみ足の不自由な方でも気軽に楽しめます。
ゆったりと時間を過ごす中、丁寧な仕事で準備された茶器とお菓子が運ばれてきます。
スタッフのお話を伺いつつ、じっくりとお茶を淹れていきます。
一煎目は湯呑みの6分目までお湯を入れ、湯冷しに通し、温度を70〜60°前後くらいまで下げます。
お湯を急須に淹れ、蓋をして30秒ほど。
90度に傾けて湯呑みへ一気に注ぎます。
もちろん最後の一滴まで!
味わったことがないほど旨みの強い!『やぶきた』
淡い薄緑色の香しいお茶がお目見えです。
まずは、『やぶきた』をいただきます。
日本茶の生産量は約75%がやぶきたと云われており、日頃から多くの方が飲み慣れている品種かも知れません。
ですが、やはり違います。
見た目の色とは裏腹に、芳醇な香味や濃厚な旨みを感じ、正直カルチャーショックを受けるくらいのインパクトがあります。
この旨みの正体はアミノ酸。
急須をふると雑味が出るそうなのでご注意ください。
初めて知る『おくひかり』に舌鼓
続いて、『おくひかり』です。
あまり馴染みのない味わいですが、渋味の後に柔らかい甘みも感じられ、凛としていて爽やかなイメージが広がります。
すっきりとした骨太さが印象的で、「やぶきたは女性のような、おくひかりは男性のような雰囲気」と表現されていました。
味が変化する二煎目をいただく
二煎目も湯呑みに6分目のお湯を入れ、今度はそのまま急須へ淹れます。
3〜10秒ほどで直角に湯呑みへ流し込みます。
飲み比べの醍醐味は、同じ瞬間を味わうこと。
ですので、両手でそれぞれの急須を持ち、同時に湯呑みへ傾けるのがポイントです。
ぜひ、体感を!
和菓子のお供に三煎目
お茶本来の美味しさを味わった後は、お茶菓子として出された光林堂の茶羊羹と共に三煎目をいただきます。
二煎目以降から段々とお茶の色味が増していき、三煎目から馴染みのある味わいへと変化していくため茶羊羹ともピッタリ。
お庭の景色と合わせて、五煎目まで楽しめますよ。
訪れる度に体感できるそれぞれの楽しみ方
お気に入りの一品種をじっくりと楽しみたい方は、『やぶきた』と『おくひかり』のどちらかを選べるメニュー(お菓子付き300円)もあります。
今回のように、「ぜひ味比べをしてみたい!」という遊び心のある方は500円で両方の味を楽しめますよ。
茶器は適温に温められ、その時の茶葉や気温に合わせた湯温、計算された蒸らし時間など細やかな心配りのもとに上質な川根茶をいただける貴重な体験です。
ホールで味わう川根茶スイーツ
入り口右側のホールでは2種類から選べる『べにふうきの川根紅茶セット』や川根の良さが凝縮された絶品スイーツと共にいただく『川根ロールケーキセット』も用意されています。
他にも、夏季限定で楽しめる氷出しの冷茶や女性が食べている姿が絵になる大人のかき氷『グラッタケッカ』も大人気とのこと。
四季折々の川根時間を贅沢に過ごせるおもてなしが満載!
「皆に言いたいけれど、自分だけのとっておきにしたい」と思わせる特別な場所なんです。
藤城清治氏の影絵が映す川根本町の魅力
心とお腹をゆったりと満たした後は、日本の影絵作家として第一人者である藤城清治氏のシルエットギャラリーを閲覧するのがおすすめです。
川根本町を題材にした色彩豊かな作品が魅力的。
川根の景色を藤城氏の目線で楽しむのも一つですよね。
のんびりと散策や買い物を楽しみましょう
土産処「緑のたまてばこ」
また、「茶室やホールで味わった茶葉を購入したい」という方は、お土産処「緑のたまてばこ」を覗いてみましょう。
受賞茶や高級茶はもちろん、ご自宅用にぴったりなお手軽価格の茶葉まで豊富な品揃えでお迎えしてくれます。
季節の農産物や加工品も購入できますよ。
庭園散策
全国的に珍しい水琴窟が二つある茶室前のお庭は、自由に散策することができます。
丁寧にお手入れされた木々を眺めながら、水琴窟の瑞々しい音に癒される思いです。
ぜひ、お茶をいただいた後に覗いてみてください。
若さを保つ秘訣は、お茶の作用にあり
ちなみに緑茶に含まれる茶カテキンは、ガン抑制作用が期待できます。
他にも血圧上昇の抑制や血中コレステロール濃度の上昇を抑えるなど、健康的な身体づくりを目指せる優れた栄養分が含まれています。
また、老化を抑えるための抗酸化作用を持ち合わせているので、女性にとっては必見ですね。
ご紹介の道の駅「フォーレなかかわね茶茗舘」詳細情報
住所 | 静岡県榛原郡川根本町水川71-1 |
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電話 | 0547-56-2100 |
営業時間 | 10:00~16:30 ※呈茶受付は午後4時まで |
定休日 | 水曜日 祝日の翌日 年末年始 |
入館料 | 無料 ※川根茶・川根紅茶のご注文は有料(各300円) |
駐車場 | 無料駐車場あり |
アクセス | 車 ●新東名「金谷IC」から約1時間 ●東名「相良牧之原IC」から約1時間20分 |
公式HP | https://chameikan.jp/ |
イベント名 | 「川根茶を愉しむ会」 |
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開催日(月1回/第4日曜日) | 2024年1月28日(日) |
開催時間 | 10:00〜16:00 |
会場 | 茶茗舘 |
参加費 | お一人様500円 |
わざわざ立ち寄りたい道の駅「フォーレなかかわね茶茗舘」
「お茶好きだからなぁ」とちょっと立ち寄るくらいの感覚で訪れてみたのですが、洗練された充実感を味わえるうえに、とても高尚な気分を体感できました。
「川根茶の本当の素晴らしさを伝いたい」という地域の人たちの本気の思いが伝わります。
月に一度、「川根茶を愉しむ会」として地元のお店が発信するマルシェや生産者さん自らの手によって振る舞われる呈茶など盛りだくさんのイベントが開催されています。
のんびりとお茶をいただきたい方は、平日の程よい時間に訪れてみるのがベストです。
その日の気分に合わせて、フォーレなかかわね茶茗舘にふらりと立ち寄ってみるのはいかがでしょうか。
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