富士宮市の古刹「富士五山」を観光してみよう
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富士五山とは何か?
北山本門寺
昔の地名の呼び方で駿河国富士郡に創設された日蓮宗の代表的なお寺の総称を富士五山といいます。
開祖日蓮の高弟である日興上人という方が他の弟子と共に創設した5つの寺院があります。
外観に関して共通しているのは、どのお寺も参道が立派に感じられたことと樹木が異様に大きいことです。
「由緒ある寺院は参道が立派で長い」と聞いたことがあります。
それと並び、樹木の巨大さも古刹の特徴でしょうか。
お寺巡りをしようと思ってもどこから周ってみればいいのか見当がつかない方にとって富士五山のようにパッケージ化すれば迷う事がなく計画が立てやすいですね。
同じ日蓮宗でも門流という派閥の違いがあります。
門流ごとに分けて以下に紹介します。
【日蓮正宗】
上条大石寺
1290年に2祖日興上人によって開かれたお寺で、日蓮正宗の総本山です。
広大な敷地の上条大石寺
大石寺は富士五山の中で最も大きなお寺です。
初めて訪れた方はその敷地の広大さに驚かれると思います。
南北約1.6km、東西約1.2kmで約70ヘクタールあるそうです。
すべて見て回ろうと思ったら丸一日かかるかもしれません。
広大な敷地の中に宿坊や各種お堂、五重塔、講堂、墓苑などがあります。
パンフレットを見る限り坊と名のついた建物が32ヶ所もあるのでお坊さんが100人居るというのも納得です。
高野山と違い、基本的に信徒しか宿泊できないそうです。
日本庭園や桜も見どころ
敷地内には5千本の桜が植えてあり春は桜の名所として賑わいます。
私は敷地の広大さと建物の豪華さにばかり目がいってしました。
伽藍の巨大さについてお寺の関係者に尋ねると、ちょうど付近に客殿があったのですが、5千人収容できるという情報を得ました。
パンフレットの地図と現物を確かめた上で考えますと憶測ですが同規模の建造物が8乃至10棟は在るように見えます。
一体何百億円つぎ込まれているのだろうか?
大石寺は観光客向けの宣伝は積極的に行っていないようですが、敷地内には日本庭園や宝物殿もあるので観光地として見どころは満載です。
下条妙蓮寺
大石寺と同じく日蓮正宗のお寺です。
大石寺にも共通することですが、この付近一帯は鎌倉時代の地頭である南条氏が深く関係しています。
南条時光なる人物が妻である妙連尼の一周忌供養のため邸宅跡を改装し寺院にしました。
このお寺までの道中は、付近に案内表示がなく迷いそうになるので気をつけて下さい。
武家屋敷のように周りを塀で囲まれており外から内部は見えません。
正面の立派な白い石灯篭を抜けると参道脇には宿坊が4カ所あります。
ダイヤモンド型の石畳が西洋的な整然とした印象を与えます。
参道を抜けると大きな杉の木が左右に二本そびえ立っており、門に見立てているようです。
境内には客殿と本堂が2棟あり、表門や客殿は江戸末期の1810年代に再建されておりますが文化的価値が高く富士宮市指定文化財になっています。
下条妙蓮寺へのアクセス
下条妙蓮寺は大石寺から1kmも離れていない場所にあります。
【日蓮宗】
北山本門寺
北山本門寺は1293年に日興上人が開いたお寺です。
境内に入ると日興上人の大きな像が目につきます。
それ以上に存在感があるのは巨大ないちょうの木や杉の木です。
『題目杉』という樹齢700年の巨大な杉の木がありまして大人が4、5人がかりでやっと手が回る程の幹の太さがあります。
北山本門寺は樹木が素晴らしく、よく管理されているようです。
私がこちらを訪れた時も植木職人が樹木の手入れしていました。
徳川家康を守った護持仏
珍しい伝承も聞きました。
徳川家康が武田勝頼と戦った際、鉄砲で撃たれます。
弾丸は運よく懐中に入れていたご本尊に当たり命拾いします。
この時のご本尊が鉄砲曼荼羅という別称で伝えられ宝物として納められています。
このお寺は裏側の敷地が苔むした鬱蒼とした森でした。
現在は植林されており杉の木も細く木漏れ日が落ちるようになっていますが以前と変わらず静謐な場所です。
手水場所があり神社のお堂のような建造物があります。
まるで異空間に入り込んだような錯覚を起こします。
北山本門寺へのアクセス
非常にアクセスしやすく、国道139号線バイパスの北山インターから直ぐのところに在ります。
国道469号線を走っていると沿道に大きな仁王門が建っているので嫌でも目に入ります。
小泉久遠寺
小泉久遠寺は地域密着型の小さなお寺です。
本門寺と同じく日蓮宗です。
2祖日興上人の高弟の日郷が1298年に開いた古刹です。
石畳の長い参道は車が通行出来るようになっていて、本堂まで直接行けます。
ただ、駐車スペースは狭かった記憶があります。
【単立】
西山本門寺
日興上人の弟子日代が1344年に開山したお寺です。
参道入り口には黒門が砦の関所のように待ち構えています。
この黒い塗装は、京都の黒塀を思い起こします。
渋墨塗でしょうか。
門を抜けると長い参道をひたすら歩きます。
その距離なんと2km。
桜並木の沿道を200m程歩くと石段を登ります。
登りきると鬱蒼とした杉並木の参道を忍耐強く歩きます。
石灯篭や伽藍、石段、何もかも苔むしていて山寺の趣が感じられました。
表門からではなく参道の途中に車で入れる道もあります。
足腰の不自由なご年配の方はそちらから車で境内へ入られるとよいかと思います。
織田信長公ゆかりの寺
本堂の裏手は小さな日本庭園と共に信長公の首塚があります。
織田信長の首が何故このお寺に祭られているのか?
真意は定かではなく私には伝説上の話のように思われます。
首塚の上には静岡県指定天然記念物で樹齢500年の巨大なヒイラギがあります。
魔よけの意味で首塚の上に植えられているそうですが上部が朽ち果てて、枝を大部分切り落としてあります。
その歪さが首塚の不気味さを引き立てており、寒気がしました。
事実はどうあれ地元民は信長公にゆかりがある寺として『信長公黄葉祭り』を盛大に催しております。
信長公黄葉祭りは、参道で屋台やフリーマーケットを出店し、武者行列や火縄銃演武を見ることができます。
まだ歴史の浅いお祭りですが盛大なお祭りです。
毎年11月の第2日曜日に開催されますので是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
富士五山の詳細情報
上条大石寺
住所 | 富士宮市 上条2057 | |
---|---|---|
電話 | 0544-58-0810 | |
拝観時間 | 9時~17時 | |
拝観料 | なし | |
駐車場 | 約1,500台分あり | |
アクセス | 車
●東名「富士IC」から約35分 ●東名「裾野IC」から約60分 ●東名「清水IC」から約65分 ●新東名「新富士IC」から約30分 |
|
バス
●JR富士宮駅から富士急静岡バス5番線大石寺方面行きで約30分 ●JR新富士駅/富士駅から大石寺方面行きバスで約45分(不定期運行) |
||
Webサイト | http://www.nichirenshoshu.or.jp/page/taisekiji/jpn/taisekiji_j.html |
下条妙蓮寺
住所 | 富士宮市下条688 | |
---|---|---|
電話 | 0544-58-0006 | |
拝観時間 | 拝観自由 | |
拝観料 | なし | |
駐車場 | あり | |
アクセス | 車
●新東名「新清水IC」/「新富士IC」から約25分 ●東名「富士IC」から約30分 |
|
Webサイト | http://fujinomiya.gr.jp/ |
北山本門寺
住所 | 富士宮市北山4965 | |
---|---|---|
電話 | 0544-58-1004 | |
拝観時間 | 拝観自由 | |
拝観料 | なし | |
駐車場 | あり | |
アクセス | 車
●新東名「新富士IC」から約20分 ●新東名「新清水IC」から約40分 ●東名「富士IC」から約25分 |
|
バス JR身延線富士宮駅からバスで約20分 | ||
Webサイト | http://park16.wakwak.com/~honmonji/ |
小泉久遠寺
住所 | 富士宮市小泉1649 | |
---|---|---|
電話 | 0544-26-3408 | |
拝観時間 | 拝観自由 | |
拝観料 | なし | |
駐車場 | あり | |
アクセス | 車
●新東名「新富士IC」から約10分 ●新東名「新清水IC」から約40分 ●東名「富士IC」から約15分 |
|
バス JR身延線富士宮駅から二本松行きのバスで約10分乗車→「富士根南小」下車 | ||
Webサイト | http://fujinomiya.gr.jp/ |
西山本門寺
住所 | 富士宮市西山671 | |
---|---|---|
電話 | 0544-65-0242 | |
拝観時間 | 拝観自由 | |
拝観料 | なし | |
駐車場 | あり | |
アクセス | 車
●JR身延線富士駅から40分 ●新東名「新富士IC」から約35分 ●新東名「新清水IC」から約30分 ●東名「富士IC」から約25分 |
|
バス JR身延線芝川駅からバスで約15分 | ||
Webサイト | http://fujinomiya.gr.jp/ |
※拝観自由の場所が多いですが、夜遅くは避け、常識の範囲内の時間にご訪問ください。
仏教から地域文化の根を探る
西山本門寺山道
「富士五山」・・・といわれても地元民ではなく仏教に興味もなかったら、聞いたことはあったとしても記憶に留まらないでしょう。
富士宮市民であっても知らない人が多いと聞きました。
日本人の多くは宗教アレルギーがあるといわれていますから仕方ないのかもしれません。
とはいえ、各地の地域色の違いは日本文化に深く根を下ろしている仏教から知ることが遠いようで最も近道だと思います。
その土地の文化的な根っこが最も古い歴史を保存する寺院にあると考えるのは自然なことのように思えます。
富士五山に指定されたお寺はすべて日蓮宗です。
宗祖の日蓮上人は宗教家でありながら政治に近づいた人で国家主義的ナショナリストといわれていますが権力に屈せず仏法を尊ぶことに重きを置いたそうです。
政治に近づきながら権力を否定する矛盾をどう乗り越えたのでしょうか?
勇気と信念を貫いた苛烈な人生であったと想像します。
日蓮上人がこの地域にどんな爪痕を残したのか探りながら観光してみれば面白いと思いました。
富士五山観光の感想
西山本門寺境内
最近、大石寺を訪れた際、以前にはなかったアーケード街があり、以前にも増して観光地としての利便性が向上したように感じました。
大石寺の巨大さや西山本門寺の参道の長さは、実際現場に行って確かめてみてください。
きっと驚くと思います。
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