静岡特産品|わさび栽培発祥の地 有東木で日本わさびの魅力に触れる
食材を引き立ててくれる日本わさびは、ピリッとした辛味とツーンと鼻に抜ける独特の風味が特徴です。
日本料理やお寿司には欠かせない存在として、現代の食卓に彩りを添えてくれています。
日本に住む私たちは、繁殖力が強く、味や風味に違いのある西洋わさびを食する機会の方が少ないかも知れませんね。
日本でわさびが育つ環境
日頃、一般的に口にする日本わさびは、本わさびと云われることも多く、数少ない日本固有種の一つでもあります。
春先に白く小さな花を咲かせるアブラナ科の一種で、一定の水量と低めの水温を確保できることや、きれいな水、適度な日差しが必要など様々な条件を満たした環境で栽培されています。
日本わさびが育つ環境に適しているのが、長野県や有東木をはじめとする伊豆や御殿場など静岡県の山間地域です。
山の斜面を活かして栽培されている有東木のわさび田には、夏場でもひんやりとした空気が漂い、安倍川上流の清らかな水が惜しみなく流れています。
わさび栽培発祥の地 有東木(うとうぎ)地区
静岡市葵区有東木は、わさび栽培発祥の地として知られており、生わさびはもちろんのこと、酒粕を使用したわさび漬けや茎を使用した醤油漬け、佃煮など、地域により様々な食べ方を楽しんでいます。
わさびの歴史
その昔、わさびは薬草と位置付けられていましたが、平安中期頃より香辛料として用いられるようになりました。
その後、贈答品とされた時代を経て、室町時代には現代と同じく生魚や鳥の薄切り、貝などを食する際にわさびが添えられるようになります。
江戸時代の文献には、魚や蕎麦の毒を解すと書かれており、解毒作用が認められていたことや、抗酸化作用・血流改善作用など身体に有効な作用が多く確認されています。
さらに、安土桃山時代の慶長年間にわさび栽培発祥の地とされる有東木での栽培が始まったと云われていますので、歴史を遡ると長い時間を静岡と共に歩んできたことが分かります。
また、静岡にゆかりの深い徳川家康にも献上され、静岡県と日本わさびの歴史がより結びつきを増していきました。
門外不出の御法度品である有東木のわさびが、縁あって天城湯ヶ島での栽培に繋がり、今現在の伊豆や御殿場の栽培地域に広がっています。
世界農業遺産に認定
わさび栽培発祥の地・有東木や伊豆地区は、現在、世界農業遺産である静岡水わさびの伝統栽培にも指定されており、世界的にも注目の高さが窺えます。
世界に通じる品質の良さや収穫量の確保を支えているのが、1892年ごろに開発された畳石式と呼ばれる栽培方法です。
わさび栽培の理想的な方法として、現在の安定したわさびの育成に繋がっています。
わさびのおろし方
日本わさびは、2〜4cmほどの根をすり下ろして食材と合わせていただくのが一般的なイメージかも知れません。
正確には成長した地下茎部分を、きめの細かな鮫皮のおろし具で円を回すようにすり下ろしていきます。
丁寧にやさしくすり上げていくことで、より風味豊かなわさびの個性を引き出せます。
おろし方や地下茎の部位によって、辛さや風味のバランスも変化するため、お料理やお好みに合わせてする方法を選ぶのも一つです。
おろしわさびの楽しみ方
茎に近い部分は豊かな香りと瑞々しさで鮮やかな緑色が特徴です。
真ん中は生わさびならではの辛みや粘り気のバランスが素晴らしく、先端部分は香りよりも辛みを存分に味わえるため、それぞれの特徴をブレンドして好みの味にもできます。
揮発性である辛味成分を程よく保つためには、すり立てを食するか、揮発を防ぐように空気に触れさせない工夫が必要です。
お寿司屋さんやお蕎麦屋さんですり立てを勧められるのは、独特の辛みを味わってもらおうというおもてなしの心といえます。
他にも、シャキシャキとした食感が楽しめる葉柄と呼ばれる茎の部分も醤油漬けはもちろん、細かく刻んでわさび漬けの原料にも使われています。
白く咲く花の部分は、おひたしなどで楽しめるため、辛みや苦味の成分からいただける豊富な栄養素を摂取できます。
静岡の食卓を飾るわさび漬け
美しい清流と自然豊かな環境が生み出す日本わさびを、さらに美味しくいただけるのが静岡のお土産品で人気のわさび漬けです。
わさびの葉や茎・地下茎を細かく刻んで塩漬けにし、調味した酒粕に漬けたものをわさび漬けと言います。
ご飯のお供に、お酒のアテにといろいろな楽しみ方で、一年中食することができる静岡の逸品です。
お店ごとに風味や味わいに変化があり、わさびの辛みを生かしたものや、酒粕でマイルドに食べられるものまでそれぞれの特徴があります。
わさび漬けの元祖と云われている田尻屋総本家や創業安政5年の野桜山葵漬店、駅構内での販売を始めた田丸屋など、今もなお愛されて続けている名店が軒を連ねています。
有東木「うつろぎ」でさっそくおろし山葵を堪能
店内では山葵加工品の販売はもちろん、手打ちそばやわさび、地元食材をふんだんに使用した定食や甘味などが楽しめます。
開放的な屋外の座席があり、清流から溢れるマイナスイオンを目の前で感じながら食事ができます。
道中の疲れを癒すべく、おろしそばを頂戴しました。
手打ち蕎麦は更科風の極細麺で、喉越しの良いさっぱりした味わい。
たっぷりのおろし山葵は、ピリリとした辛さの中に、フレッシュな風味を堪能できます。
オクシズの居心地の良さを体感できる休み処として、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
わさび栽培発祥の地 有東木
「うつろぎ」(農林産物加工販売所)詳細情報
※地元の山葵(わさび)やお茶、農産物や土産物を販売
※定食や蕎麦メニューがあり食事もできます
住所 | 静岡県静岡市葵区有東木280-1 |
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電話 | 054-298-2900 |
営業時間 | 平日 10:00〜15:00 土日祝 9:00〜16:00 ※現在「わさび漬けづくり体験」はお休み中 |
定休日 | 毎月第3火曜日 年末年始 農繁期(5月上中旬・6月下旬) |
入場料 | なし |
駐車場 | 無料駐車場あり ※30台分 |
アクセス | バス 新静岡セノバ発(西バスホーム11番乗場)「安倍線有東木行」約1時間20分乗車→終点「有東木」下車 車 JR静岡駅から約60分。県道27井川湖御幸線を北進→玉機橋交差点を県道29号梅ヶ島温泉昭和線方面に北進 |
HP | http://utougi.hiho.jp/ |
わさび発祥の地 有東木(うとうぎ)で静岡名産のわさびに触れる
わさび漬け店を巡るのはもちろんのこと、自然豊かな静岡の地が生み出したわさび発祥の地に、足を運んでみるのも一つかも知れません。
有東木ではわさび畑だけでなくお茶も収穫されています。
お茶の収穫の農繁期の5月上中旬・6月下旬は、特産品を販売している加工販売所「うつろぎ」は休業になりますが、わさび栽培の様子は店舗前の駐車場から見ることができます。
昨今の気温上昇に伴い、わさび田は黒いシートを掛けて栽培しているのが通常です。
少し高いところにある駐車場から全体を眺めることや、隙間から覗く山葵の葉を見ることができます。
静岡と共に歩んできたわさびの歴史に思いを馳せながら、生わさびやわさび漬けを食卓で楽しんでみませんか。
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