御殿場市|子どもと楽しめる富士山の麓の洞窟探検!「駒門風穴」
静岡と言えば富士山。
その富士山のパワーを感じてみたい方にお勧めなのが、御殿場にある溶岩隧道「駒門風穴」です。
今回は、夏休みの子どもたちを連れて初めての洞窟探検に挑戦してみました。
日常にはないアドベンチャー映画のような空間に、大人も子どももワクワクが止まりません。
このページの目次
駒門風穴(こまかどかざあな)とは
駒門風穴は、一万年前の富士山の噴火によってできた溶岩隧道です。
国内で原型を保っているものの中では最も古く、学術的にも貴重なので大正11年に天然記念物に指定されました。
溶岩が流れることで、どうして洞穴が出来るのか不思議ですよね。
約1000℃の溶岩流は、地上に出ると空気に触れている表面だけ急速に冷えて固まっていきます。
しかし中身はまだ熱々のまま。
その熱々の中身が発する熱やガスで表面を突き破り、外に流れ出ます。
そうすることで、空洞だけが残されて風穴ができるという訳です。
御殿場の日常風景に溶け込む風穴
住宅の隣に大きな洞穴?!
富士山の噴火によってできた風穴は、「富岳風穴」「鳴沢氷穴」など他にもあります。
その中でも駒門風穴の驚くポイントは、田んぼと住宅地に囲まれた人々の生活圏である平野にあるということ。
246号線を降りて、住宅街に入って直ぐの場所に突然現れるのでびっくりします。
風穴の入場受付
案内所から穴の入り口は見えません。
見えるのは藤棚と鳥居。
「本当にこんな所に洞穴が?」と不思議な気持ちになりますよ。
木々が生い茂る境内
立派な藤棚がある案内所を通って鳥居をくぐると、立派な木々で囲まれた境内が現れます。
休憩できるスペースもあるので、風穴探索の前や後にのんびり休憩するのに良さそうです。
富士山の湧水
案内所の裏手には「富士山の湧水」を試飲できる場所があります。
感染症が流行る以前はコップなどが用意されていて、気軽に飲むことができたようです。
手ですくってみるとひんやりして気持ちが良く、口に含むと雑味がなくて美味しかったです。
三つの祠
案内所から風穴に進んでいく道の右側に、三つの小さな祠が並んでいます。
左の「蚕養神社」には「大気都比売神」が祀られています。
昔、駒門地区は蚕養が盛んで、風穴を蚕の卵の保存に用いていたそうです。
中央の「風神社」には、農耕に都合の良い風雨をもたらす「志那津比古神」と「志那津比売命」が祀られています。
右の「子安神社」には、安産・子育ての神である「木花咲耶姫神」が祀られています。
どの祠も、この地で人々が豊かに暮らすために必要な祭神が大切に祀られているようでした。
いざ、探索開始!
13℃の世界の入り口
祠を眺めた後、左を向くと突然風穴が現れます。
ここが住宅街だとは思えないほど、大きくぽっかり空いた穴。
その大穴は地下へと真っ暗な道が広がっており、外からはどこまで続いているのか確認することができません。
一歩洞窟に入っただけで、ひんやりと冷たい空気が肌に触れます。
洞窟奥にある温度計を見たら、なんと13℃。
この日の外気温は32℃だったので、20℃近く低いということです。
人は5℃気温が下がると涼しく感じるそうなので、その4倍だと最早寒いです。
洞窟内は一年を通して常に13℃をキープしているそうです。
御殿場の冬は氷点下まで下がることもあるため、冬に洞窟に入ると温かく感じるようです。
水音が響く静かな空間
洞窟の中は暗いですが、明かりがあるため懐中電灯は必要ありません。
足元を見るのに困らない程度の明るさですが、障害物などには注意して歩く必要があります。
天井から常に大きなしずくがポタポタと落ちてくるため、地面は濡れていました。
水たまりもあるため、うっかり突っ込むと足元がビショビショになってしまいます。
外界の音も遮断された洞窟内は非常に静かで、ポタポタという水音が響いているだけ。
神秘的で厳かな雰囲気が漂っています。
大きな空洞が広がる本穴への道
自然を五感で感じる洞窟内
薄暗い洞窟内は順路通りに進むと、本穴の奥まで辿り着くことができます。
こちらの風穴は、自然の形をできるだけ残しているため舗装された歩道はなく、岩場や水たまりを乗り越えながら進んでいくことになります。
その途中には、「東雲峠」や「頼朝公駒形石」など名前がついた場所が複数あります。
ゴツゴツした蝙蝠座敷(こうもりざしき)の跡
「蝙蝠座敷の跡」では、頭上を見ると凸凹した天井が広がっています。
この風穴には「コギクガシラコウモリ」や「ネズミコウモリ」等、さまざまなコウモリが生息しているそうです。
そのコウモリたちがぶら下がっていた跡ということですが、天井を見渡してもコウモリを確認することはできませんでした。
実際にぶら下がっていても驚きますが、より冒険映画で見るような洞窟感が増しそうです。
肋骨状溶岩(ろっこつじょうようがん)
243mある本穴を進んでいくと、立ち入り禁止区域にぶつかります。
この奥には、先程遭遇しなかったコウモリたちや、目が退化した「コマカドツチカニムシ」や「コマカドオビヤスデ」など、ここにしか生息しない虫類が生活をしているそうです。
ライトもないその先は真っ暗で、その中に見たこともない生き物が潜んでいるのかと思うとドキドキしますよね。
立ち入り禁止区域の前には「肋骨状溶岩」という奇景があります。
溶岩が押し出された後にできた跡が、人の肋骨のように見えることからその名がつけられたとのこと。
富士山の溶岩がここまで流れてきて、様々な形で冷え固まっていく様子を想像しながら眺めてみると面白いです。
頭上注意!枝穴への道
しゃがみ込まないと通れない入り口
大穴から戻ってくると、出口までの途中に枝穴への道があります。
「頭上注意」の看板がなくても目視できるくらい、非常に天井の低い通路です。
大人は背中を丸めないと通れず、120㎝程度の子どもでも頭を下げないとぶつかってしまいます。
もちろん、足元は水たまりだらけで、上も下も障害物状態です。
通り抜けるのに大変ですが、この先に何が待っているのかワクワク感が一番高まる場所でした。
海辺のような波状紋
天井が非常に低い道を進んでいくと、少し開けた場所に出ます。
こちらも「立ち入り禁止」の看板があり、最後まで進むことはできません。
足元は、水面のように波打った「波状紋」という地面が広がっています。
本穴にあった「肋骨状溶岩」と同じで、溶岩が押し出された後に出来る奇景の一つ。
日常にこの地面があったら自転車もベビーカーも走り辛いだろうな、と想像できるほど非常に硬くてガタガタしています。
近くには「溶岩鍾乳石」を見ることができます。
こちらも富士山の噴火後にできた奇景です。
こちらの枝道を通らなくても出口には辿り着けます。
足腰に不安があったり、小さなお子様を抱っこしていたりする方はスルーしても問題はありません。
大穴とは違った風景を見ることができるので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね。
光が溢れる出口へ
探索する前は「終わったらアイスが食べたい」という気分で入ったのですが、出る頃には「温かいココアが飲みたい」と思うくらい体が冷え冷え。
眩しい日差しと共に、もわっとした真夏の空気を浴びて「やっぱりアイスが食べたい」「洞窟に戻りたい」と心が覆ってしまいました。
外に出てみると、目の前に広がるのはやはりのどかな住宅街。
普通の日常風景の下にこんな大きな洞窟が潜んでいることに改めて驚かされます。
探索前のアドバイス
探索時の服装
駒門風穴は、そこまで頭上が低い場所がないためかヘルメットなどが用意されていません。
しかし、枝穴のようにあからさまに天井が低い場所や、背が高い方だと頭上が危険な場所があります。
また、滑って転んでしまう危険もあるので、帽子を装着することをお勧めします。
また、時期にもよるかもしれませんが、洞窟内は常に天井から水が滴っていました。
水たまりも点在しています。
手を使って登るような岩場はありませんが、歩道の舗装などはされていないので、スニーカーなど動きやすくて浸水しにくい靴が歩きやすいです。
我が家の子どもたちは長靴で臨んだので、足元を心配することなく探索することができました。
探索前に済ませましょう
探索にかかる時間は30分程度でした。
トイレは案内所の裏手にしかありません。
不安な方は探索前に立ち寄ってくださいね。
「駒門風穴」詳細情報
住所 | 御殿場市駒門69番地 |
---|---|
電話 | 0550-87-3965 |
営業時間 | 3月~11月 9:00~17:00 12月~2月 9:00~16:00 |
定休日 | 12月…月曜・31日 1月…16日以降の月曜 2月…月曜 ※月曜日が祝日の場合は営業 |
入場料 | 大人300円 中高生200円 小学生100円 幼児無料 |
駐車場 | 無料駐車場あり ※20台分 |
アクセス | 電車 JR御殿場線「富士岡駅」より徒歩約20分 車 東名「裾野I.C」→国道246号を御殿場方面 約15分→案内標識「駒門風穴」を右折 |
HP | https://www.city.gotemba.lg.jp/museum/muse-cat-004/128.html |
住宅街の中でワクワク!ヒンヤリ~洞窟体験
子どもたちは初めての風穴体験でしたが、ゲームやアニメの世界に入り込んだようなワクワク感があったようです。
地図を見ながら突き進み、想像以上に探索を楽しんでいました。
大人も子どものようにワクワクしてみたり、神秘的な雰囲気にパワーをもらえるような気分になったりします。
ちょっとした非日常体験をしてみたい方は、ぜひ駒門風穴でプチ探索をしてみてはいかがでしょうか。
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